特集1

イデアルでの定義はイデール的な定義よりも非常に複雑で、ヘッケの定義したことの動機は、(ヘッケのL-函数と呼ばれる)L-函数の構成にあった。ヘッケのL-函数はディリクレのL-函数の考えを、有理数から他の代数体へ拡張したものである。ヘッケ指標χに対し、ヘッケ指標のL-函数は、次のディリクレ級数として定義される。

ヘッケ指標のモジュラスmと素な整数イデアルを渡る。記号N(I)はイデアルノルム(ideal norm)を意味する。部分群Pm上のヘッケ指標の振る舞いを統制する共通の実数部の条件は、ディリクレ級数がある適切な半平面の領域で絶対収束することを意味している。

ヘッケはこれらのL-函数が全複素平面へ有理型接続を持ち、指標が自明であるときにはs=1でオーダー1である極を持ち、それ以外では解析的であることを証明した。原始ヘッケ指標(原始ディリクレ指標に同じ方法であるmodulusに相対的に定義された)に対し、ヘッケは、これらのL-函数が指標のL-函数の函数等式を満たし、L-函数の複素共役指標であることを示した。

主イデアル上の座と、無限での座を含む全ての例外有限集合の上で1である単円の上への写像を取ることで、イデール類群の指標ψを考える。すると、ψはイデアル群ISの指標χを生成し、イデアル群はS上に入らない素イデアル上の自由アーベル群となる。Sに入らない各々の素イデアルpの統一された元πを取り、各々のpを、pの中ではπであり、そうでない場合は1であるようなイデールのクラスへ写すことにより、ISからイデアル類への写像Πを定義することができる。χをΠとψの合成とすると、χはイデアル群上の指標としてうまく定義できる。

逆の方向では、ISの許容(admissible)指標χが与えられると、一意にイデール類群ψが対応する。ここの許容とは、集合Sを基礎とするmodulus mが存在し、指標χが1mod mであるイデアル上で1となることを言う。

指標が大きいということは、指標が有限オーダーのタイプではないことを意味する無限タイプであるということである。有限オーダーのヘッケ指標は、ある意味で、すべて類体論により考慮されていて、それらのL-函数はアルティンのL-函数によりアルティン相互法則として示されている。しかし、ガウス体(Gaussian field)と同じくらい単純な体でさえ、重要な方法で有限のオーダーを超えたヘッケ指標を持っている(以下の例を参照)。後日の虚数乗法論の発達では、大きな指標の固有な座の存在が、代数多様体の、(ひいては、モチーフの)重要なクラスのハッセ・ヴェイユのL-函数を提供することになることを示していた。

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